全身を使って
2014年9月
西洋医学では腰が痛い時は腰の治療、肩が痛い時は肩の治療が多いですが東洋医学では腰が痛いと訴えている患者さんに足や手のツボを使って痛みを取ります。
以前NHKの人間講座で古武術家の甲野善紀(こうのよしのり)先生が講師を務める番組で棒手裏剣を投げる場面があり、どの距離から投げても的に刺さります。フライトのないダーツを投げることはありませんが難しいです。
甲野先生は体の使い方が独特で60代にもかかわらず20代のアメフト選手との台をおかずに行う腕相撲をしても甲野先生はびくともしません。それを筋電計で計測するとアメフト選手は上半身の筋肉を主に使っていましたが、甲野先生は足から上半身まで全身を使っていました。桑田真澄投手の指導や、東京大学ではロボット開発のために甲野先生の体の動きを研究したのは有名な話です。
東京と福岡で甲野先生の武術講義を受ける機会があり実際にその動きを体験しましたが、人間の可能性を無限大に感じさせられた内容でした。古武術を介護に応用し、寝たきりの患者さんを小さな力で腰に負担がかからないよう起こしたり寝返りをうたせたりする動きを教わりました。これはすごくいい勉強になりました。
「筋肉」よりも「骨」を使え!
甲野善紀、松村卓(まつむらたかし)著
この本では走る際脚力だけを鍛えてもしょうがない走る為には全身を使う必要があると書いています。ダーツも飛ばなくなってくると全身で飛ばそうとします。全身で矢を飛ばすイメージとして樋口雄也プロが挙げられます。全身を使って投げれば体力の消耗も少なくなりますただ体にかかる負担が減るので肘や肩の故障が圧倒的に減るでしょう。ですが、その分ブレも生じやすくなります。
私は筋肉の動きを見てどこが原因で痛むのかを探ることはあっても骨を見て探ることはあまりありませんでした。しかも骨が動いてから筋肉が動く、骨の使い方を理解できれば怪我なく体を効率的に動かすことができる。という理論はいままで習っていた理論とは真逆になるので理解するに時間がかかりそうです。
この本を読んで上半身を楽に動かすためのスタンス、体幹を安定させる作用のある肋骨そして鎖骨の柔軟性がとても重要な気がします。全身でダーツを飛ばす「常識と飛常識」これからダーツと体についてもっと勉強していこうと思います。