呼吸
2013年6月
おかげさまでコラムの泉は連載を始めて3年となりました。これからも皆様のお役に立てるコラムを書けるよう努力してまいりますのでよろしくお願いいたします。
さて、人は緊張すると呼吸が浅くなります。そして大事な局面になると、平常心を取り戻そうとして間を空け一呼吸します。ダーツの試合で良く見かけますし私もよくします。
先日行われたパーフェクト福岡大会の決勝戦で、山田勇樹プロは先に勝負を仕掛けそれが失敗に終わり、形勢逆転されレッグを落としそうになっていました。ですが対戦相手の治徳プロは後一本で終わる所を外してしまいます。
山田プロは終わったと思い3レッグ目のことを考えていたそうですが、自分の順番が回ってきたため「あれ?勝っちゃった。アウターブルに2本入れ15に一本入れればいいのか」そう思い投げたらインブルに入ったので、そこで一呼吸、そして15を決め優勝します。
「もし治徳プロが一呼吸すれば、あのレッグは落としていたでしょうね」と山田プロ。
呼吸方法はたくさんあります。
一般的に良く知られている腹式呼吸。
妊婦さんや緊張した時に見られる胸式呼吸。ヨガやピラティスで行われている逆腹式呼吸。空手やマラソンなど様々なスポーツ、健康法などで独自の呼吸法があります。最近呼吸法について面白い本を見つけました。
中村明一著「密息」で身体が変わる 新潮選書
「密息」は禅や武術、茶道で使われる日本で古来の呼吸法で、密息はお腹を膨らせたまま吸い、他の呼吸方法より迅速かつ大量に呼吸出来るという利点があるそうです。著者の中村さんは尺八奏者でもあり、博多にお住いの虚無僧でもある尺八の師匠に出会い密息を知ります。中村さんはこの呼吸法をマスターすることで酸欠による体力消耗と緊張による呼吸の浅さが減り冷静に演奏できさらに尺八の音の響きが変わったそうです。
密息の呼吸方法は骨盤を倒しお腹を膨らませたまま横隔膜を使うイメージで、鼻からゆっくりと吸い口からゆっくり吐きます。
普段から行うことでストレスが減り自律神経やホルモンバランスが整い、女性は冷えや便秘の改善にも役立ちます。
ダーツでも自分のペースをつかむために密息を試してみてはいかがでしょうか。