イメージトレーニング
2011年9月
野球の試合で手元を見ながら投げる投手はいません。サッカー選手も足元を見ながらボールは蹴りません。ダーツでも同じことが言えるでしょう。
意識を持っていった方向に筋肉は動く。つまりボールやダーツは意識の方向に飛ぶのです。
日本大学大学院総合科学研究科教授 林成之著『「勝負脳」の鍛え方』を読み、脳の使い方がスポーツの勝ち負けに大きく関与していることを知りました。
スポーツする人はもちろん、全ての方にお薦めしたい本です。
脳が心も身体を支配しているのです。
ダーツを持ちスローラインに立ちボードを見て狙って投げる。
ゲーム中の駆け引き、勝った時の喜びや負けた時の悔しさ(運動、感覚、感情)これら全て脳が感じ記憶するのです。繰り返しの訓練の中でつちかうイメージ力も脳が関係しています。
右脳は直観力、イメージ力、空間認知力。左脳は論理的能力、思考力。を司るといわれています。
スポーツジムに行き、腹筋を鍛える場面ではトレーナーが「必ず腹筋を意識してください」と言います。鍛えようとする部分をイメージするのとしないのとでは筋肉が付く割合が30パーセント近くも違ってくるのだとか。脳卒中患者のリハビリでも(疾患の程度でも異なるそうですが)イメージするだけで回復スピードが早くなる場合が多いのだそうです。イメージトレーニングを行うだけで実際に運動したときと同じ脳の領域が活発に動くそうです。
恐るべし!イメージトレーニング。
と言うことは右脳を使い自分に合った良いフォームそして狙ったターゲットに刺さったイメージをして脳をうまくコントロール出来れば窮地に立たされた状況でも身体がスムーズに動くのではないかと考え、それゆえにトッププレイヤーは右脳のイメージ力が非常に強いと思われます。
イメージについてアドバイスを頂く機会がありました。
先日松本恵プロと一緒に投げさせていただきました。その時の松本プロはあまり調子が良くないらしく、グルーピングはいいもののブルから少しずれた所に刺さっていました。
「おかしいなーイメージはいいんだけどなぁ」松本プロはこうつぶやきました。
彼女もやはりイメージを大切にされていたのです。
そこで松本恵プロをはじめ、山田勇樹プロ、相良俊介プロにも質問を投げかけました。
ブル(ターゲット)を狙う時どんなイメージを持っていますか?
「自分が思い描いている軌道にダーツを乗せる」と山田プロ
松本プロは「気持ち良く腕が振れたり、軌道が見えていたり、これが出来たら入る」
相良プロは「いつも投げている軌道に乗せる」と。
追い詰められた状況でどんなイメージをもっていますか。
山田プロ「自分が練習で狙ったターゲットに入れるイメージを再現する事だけを考える」
松本プロ「練習でも入るからここでも入る」
相良プロ「練習で入っているのだから入るだろう」
面白いことに3人とも同じ回答が返ってきました。
右脳を使い手元を見ることなくターゲットに向かう軌道と練習中のターゲットに入るイメージをしながら投げているということです。手元からブルまでにパイプでつながっている映像が一般のプレイヤーと比べよりリアルに出来ているのでしょう。
トッププレイヤーはイメージ力が鍛えられ、それによる勝負の為の脳が鍛えられていました。